遥かなる時空と国境を越えて鳥たちがやってくる
4月中旬の午前4時、まだ日も上がらない冷えきった早朝に、望遠カメラを肩からさげて市内外問わず人々が集まってくる。
あたりは田畑がひろがり、奥に見える樺戸山脈は残雪で白く輝いている、そんな場所に宮島沼があります。
大空を埋め尽くす渡り鳥。春と秋、宮島沼の朝は約6万羽の渡り鳥で覆われます。美唄市宮島沼は、マガンの国内最北・最大の中継地となっており、シベリアへ向けて旅立つまえに沼周辺の落ち穂をついばみ、エネルギーを蓄えるのです。世界的に貴重な環境であることから、平成14年11月18日に国内13番目のラムサール条約登録湿地となりました。
壮大な生命の力を感じることができる
マガンは早朝になるとエサである落ちモミを求めて周辺の田んぼに向かって一斉に飛び立ちます。このことを「ねぐら立ち」といい、マガンが水面からはがれるように飛び立つ様子は迫力満点。私たちの頭上をマガンたちが覆いつくしてくれます。
ねぐら立ちしたマガンが、夕方になると田んぼからV字編隊を作って沼に戻ってくる「ねぐら入り」もまた一見の価値があります。
2017年に公開された映画「生きとし生けるもの」にもマガンのねぐら立ちが使用されています。
映画「生きとし生けるもの」予告(0:38~宮島沼)
人間と共存を第一に
マガンの見頃は春と秋で、春のピークは4月下旬で秋のピークは9月下旬。マガンのほかにもコハクチョウ、オナガガモ、オオハクチョウなどの水鳥を観察することができます。観察小屋や目隠しの木造柵も設置されているので、ぜひ一度来てみてください。
宮島沼の鳥たちは、人慣れしている鳥もいますが、ほとんどの鳥は警戒心が強く、人に慣れていません。農地や私有地に立ち入らない、観察エリア以外では見学しない、餌をあげない、沼やその周りで大声や大きな音をたてないなど、最低限のマナーを守りましょう。
人と動物の共生や環境問題を考える良い機会になると思います。
INFORMATION
ラムサール条約登録湿地 宮島沼
住所 美唄市西美唄町大曲3区
URL 宮島沼・水鳥湿地センターHP / MIYATOMO~宮島沼・水鳥・地域の応援団~